zhouer's blog

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「カルテット」臺詞-第三集

zhouer / 2022-05-18


第三集~

綿来 欧太郎(わたらい おうたろう):あいつ いつ来んのかな?

岩瀬 寛子(いわせ ひろこ):そうね~

岩瀬 純(いわせ じゅん):おじさん 娘に会いたいの?

綿来 欧太郎:そりゃあ 会いたいよ。


岩瀬 寛子:最後に娘と 一目 会いたいんだろうけど,もう20年以上 音信不通だしね。

岩瀬 純:その子 Facebookやってないかな? 何て名前?

岩瀬 寛子:すずめちゃん?

岩瀬 純:すずめちゃん。

岩瀬 寛子:色々な親戚(しんせき)に 預け(あずけ)られてた子なの,ママのうちにいたこと あったんだけど。ある時 物置で おじいちゃんのチェロ 見つけて,それ以来 一日中 部屋にこもって弾いてた。

岩瀬 純:何で親と暮らしてなかったの?

岩瀬 寛子:母親は ずいぶん前に 亡くなってたし,父親 おじさんは ある時 日本中が大騒ぎ(おおさわぎ)に あるほどの詐欺事件起こしてさ,逮捕されちゃったの。

岩瀬 純:逮捕? 詐欺って?

岩瀬 寛子:ニセ超能力。娘のすずめちゃんに インチキな超能力教え込んでさ,しょっちゅうテレビに出すたの。

岩瀬 純:これ?

岩瀬 寛子:これこれ。魔法少女ブームみたいになって 結構人気あったんだよね。

司会者:さあ それでは皆さん 準備はよろしいでしょうか? すずめちゃんの奇跡の超能力を ご覧いただきましょう。

司会者:すずめちゃん いきますよ。このトランプの数字は 何かな?

世吹 すずめ:スペードの9。

司会者:正解です! おお すごい これは?

岩瀬 純:インチキってバレたんだ?

岩瀬 寛子:週刊誌に暴露それで,すごいバッシングになって。テレビ局の人が自殺して,おじさんも逮捕されて,すずめちゃんも魔法少女は大噓つきだったみたいに言われて。

司会者:本物の超能力少女です!


別府 司:すずめちゃん 雪が降るようなので 午前中のうちに洗濯物を取り込んでおいてください 別府

来杉 有朱:ウチのお店 お米(こめ)使わないから。

sありがとうございます。

世吹 すずめ:はい。

来杉 有朱:お休みなのに デートとか行かないんですか?

世吹 すずめ:さっきまで寝てたし,そういう相手とかいないんで。

世吹 すずめ:やばい。

来杉 有朱:何で彼氏作らないんですか?

世吹 すずめ:何で? 何でかな… 告白とか苦手で。

来杉 有朱:告白は 子供がするものですよ,大人は誘惑してください。

世吹 すずめ:誘惑?

来杉 有朱:誘惑は まず 人間を捨てることです。

世吹 すずめ:「人間を捨てる」 大丈夫ですか?

来杉 有朱:大体 三つパターンあって 猫になるか 虎(とら)になるか 雨に濡れた犬になるか。

世吹 すずめ:猫 虎…

来杉 有朱:どれがいいですか?

世吹 すずめ:じゃあ 猫で。

来杉 有朱:まず 布団に潜り(もぐり)込みます。

世吹 すずめ:はい。

来杉 有朱:疲れちゃった。

来杉 有朱:キスしちゃったらダメですよ。いつキスしてもおかしくないぞ の 距離をつくるまでが女の仕事です。

来杉 有朱:ペットボトル1本分の距離を 保ってください。女からキスしたら 男に恋は生まれません。

世吹 すずめ:はい。


別府 司:行きますよ。何でペットボトル 持ってるんですか?

世吹 すずめ:何でもないです。

家森 諭高:あれ?

別府 司:どうしました?

家森 諭高:洗濯したはずのパンツが ないんだよ。

別府 司:パンツ?

家森 諭高:いや ランジェリーのほう。

別府 司:えッ?

家森 諭高:はいてないよ。

別府 司:取り込んだ時ありました?

世吹 すずめ:別府さんのランジェリー 貸してあげたらいいんじゃないですか?

家森 諭高:ランジェリー貸して。

別府 司:ランジェリーっていうのやめてください。

家森 諭高:ランジェリー貸して。

世吹 すずめ:ランジェリー貸してあげて。

家森 諭高:ランジェリー貸して。

巻 真紀:ごめんなさい お待たせしました。

別府 司:行きましょう。

家森 諭高:別府君 待って。

別府 司:ランジェ… パンツは コンビニで。

家森 諭高:二人 ボーダーかぶってますよ。

世吹 すずめ:本当に。

別府 司:すいません。

巻 真紀:ダメですか?

家森 諭高:特別な関係に見えちゃうけど いいの?

別府 司:着替えてきます ちょっと待っててください。

家森 諭高:何でボーダー着るかな。

巻 真紀:ボーダー着てダメなんですか?

家森 諭高:絶対かぶるに決まってるじゃない。着る時 他にも誰か 着てる人いるかもなって普通考えません?

巻 真紀:じゃあ ボーダーはいつ着ればいいんですか?

家森 諭高:昨日ボーダー着てる人と会う時じゃないんですか。

巻 真紀:ちょっと条件が厳し(きびし)すぎません?

別府 司:お待たせしました 行きましょう。

家森 諭高:ダメじゃん。

世吹 すずめ:特別な関係に見えちゃいますよ。

別府 司:着替えてきます。

家森 諭高:あと メッセージ性の強すぎる Tシャツはよそうね。


岩瀬 純:すいません。

別府 司:はい。

世吹 すずめ:ボーダーですよ。

家森 諭高:ほら。

巻 真紀:街で偶然会うのは 仕方ないじゃないですか。

岩瀬 純:あの すいません。

岩瀬 純:はい 綿来さんのことで お話が。

世吹 すずめ:知り合いでした 先に行っててください。

家森 諭高:よかったね ボーダー着てなくて。

世吹 すずめ:ねえ。

岩瀬 純:すいません。

岩瀬 純:綿来すずめさんですよね?

世吹 すずめ:いや~

岩瀬 純:あなたのお父さん もうすぐ亡くなり(なくなり)ます。おじさん いま 千葉の病院に入院してるんです,もうたぶん もういつ亡くなってもって状態で。

岩瀬 純:おじさん 最後に娘に会いたい って言って待ってます。

岩瀬 純:これから僕と一緒に来てください。

世吹 すずめ:ちょっと今日は仕事あるんで。

岩瀬 純:ちょっと 今日かも 明日かもしれない状態なんです。

世吹 すずめ:はい ありがとうございます。

岩瀬 純:お父さんが会いたがってるんです。

世吹 すずめ:はい。

岩瀬 純:親子でしょ?

世吹 すずめ:はい。

岩瀬 純:ちょっと,,,


別府 司:すずめちゃん 今日ちょっとテンポが…

世吹 すずめ:遅かったですか?

別府 司:速かったです 結構。

世吹 すずめ:そうですか ごめんなさい。

家森 諭高:大変だ。有朱ちゃんに お呼ばれしちゃった。パンツどうしょう?

別府 司:さっき途中で 買ったじゃないですか。

家森 諭高:これしか売ってなかったんだよね。

別府 司:メッセージ性 強いですね。

家森 諭高:ご一緒に 言って ウルト…

別府 司と家森 諭高:ウルトラソウル!

家森 諭高:そうだよッ いこうぜ いこうぜ。


別府 司:アイスですか?

別府 司:はい。

世吹 すずめ:ありがとうございます。

世吹 すずめ:別府さん 明日って何してます?

別府 司:明日ですか?

世吹 すずめ:時間があったら..

別府 司:明日旧軽銀座で 餅(もち)つき大会あるそうですよ,すずめちゃん いって来たら?

世吹 すずめ:餅つき大会… 別府さんは?

別府 司:僕 明日 実家帰らないといけないんです,何か父が受賞したらしくて お祝いで。

世吹 すずめ:すごい。

別府 司:僕以外 みんなすごい人達で。

世吹 すずめ:餅つき大会のほうが 楽しいんじゃないですか? 餅つき大会 楽しいですよ。

別府 司:いや やっぱり 家族のお祝いごとなんで帰ります。

別府 司:すずめちゃん ご家族は? 聞いたことなかったですけど。

世吹 すずめ:あッ 岡山県で きびだんご作ってます。


別府 司:すずめちゃん もう上で寝たら?

世吹 すずめ:眠くないです。

巻 真紀:いいにおいなんだけど…

世吹 すずめ:若干トイレの芳香剤 っぽくないですか?

別府 司:有朱ちゃん 行かなかったんですか?

巻 真紀:ウルトラソウル しなかったんですか?

家森 諭高:別府君 僕に 強いお酒をいただける?

家森 諭高:本当に 上がっていいの?

来杉 有朱:何しに来たんですか?

来杉 有朱:そこ おじちゃん寝てるんで。

来杉 有朱:お父さんです その横 お母さんです。

家森 諭高:えっと。 ここって?

来杉 有朱:実家です。

来杉 有朱:妹 高校受験なんです 勉強見てあげてください。

家森 諭高:はい。

来杉 有朱:私は 明日が早いので帰ります おやすみなさい。

家森 諭高:おやすみ~

来杉 有朱の妹:あの人 やめといたほうがいいよ。 姉ちゃんのあだ名 淀君(よどきみ)だから。

家森 諭高:で 妹が言うには 小学校ん時 有朱ちゃんがいるクラスだけ 毎年 学級崩壊起きてたらしくて。

世吹 すずめ:何があったんでしょう?

家森 諭高:あと 元彼が 彼女と付き合う前は Apple Storeで 働いてたのに,今は 朝 パチンコ屋さんに並んでるって。

別府 司:何があったんでしょう?


世吹 すずめ:クローバーの6。

司会者:これは?

世吹 すずめ:ハートのクイーン。

司会者:すごい。信じられません…


録音機:例えば 人口が減っていくと 皆で支え(ささえ)て いるものに対する費用の負担が増える。

世吹 すずめ:おはようございます。

録音機:例えば…

巻 真紀:おはようございます。

巻 真紀:在宅で仕事始めたんです,雑誌とかのインタビューを テキストに起こす。

世吹 すずめ:へえ。

録音機:日本はたくさんの借金を 国で抱えていますよね。この借金は いずれ返していくものですか,返す人が減っていくことになるので 負担感がだんだん増えていくわけです。税金を出し会って 国を守っているわけですけれど。

巻 真紀:すずめちゃん。

世吹 すずめ:はい。

巻 真紀:あとで一緒に 餅つき行きません?

世吹 すずめ:ごめんなさい,ちょっと用事あって。

巻 真紀:そっか はい。

世吹 すずめ:ごめんなさい。

巻 真紀:いいえ。


巻 鏡子:今月分です。

世吹 すずめ:もう こういうの やめようかなって。

巻 鏡子:ロッカーの鍵 持ってんでしょ?お金欲しいんでしょ?海が見える所に 移して(うつして)あげたいんでしょ?

世吹 すずめ:それは… カルテットの演奏もありますし。

巻 鏡子:あなたの経歴を見込んで お仕事頼んだよ。今から行きます?皆さんに あなたの経歴を 話しましょうか。

来杉 有朱:すずめさん。

来杉 有朱:こにちは。

世吹 すずめ:こにちは。

来杉 有朱:こにちは。

巻 鏡子:こにちは。

kさようなら。

巻 鏡子:ハローグッバイな子ね。

巻 鏡子:これが あなたに 一番向いて仕事なの。


別府 司:こにちは。

谷村 多可美:見て見て。 これ こんなにきれいに写るの このアプリ。ほら 上がるわ~

家森 諭高:写真にしか写らない~ 美しさがあるから…

谷村 大二郎:そうだ ママ みんなに確認しとかないと。

谷村 多可美:そうだ,皆さんの中に犯罪者はいる?

谷村 多可美:知り合いの旅館にいたの 会社のお金横領して 逃げてた仲居(なかい)さんっていうのが。

別府 司:僕ら そういうのは…

谷村 大二郎:家森君 大丈夫? 逃走中だったりしない?

家森 諭高:何で僕 名指し(なざし)なんですか?

谷村 大二郎:何かあったら辞めてもらうからね。

家森 諭高:何で 僕見て言うんですか?

谷村 大二郎:何かやってそうなんだよ?


別府 司:巻さん 天気予報って.,.

家森 諭高:熱い 熱い 熱いッ 熱いッ

家森 諭高:ちょっと。

別府 司:ごめんなさい。

家森 諭高:すずめちゃん 笑いすぎ。

別府 司:天気予報って 上唇(うわくちびる)と下唇つけずに 5回言ってもらっていいですか?

巻 真紀:天気予報 天気予報 天気予報 天気予報 天気予報

巻 真紀:なんですか?

家森 諭高:天気予報はね 元々 唇くっつけなくても言えるんです。

別府 司:天気予報 ほら。

巻 真紀:全然面白くないです。


別府 司:ウチのサイトに メールが来てます。

家森 諭高:ファンついたんじゃないの?

別府 司:アドレスだけはってあって。なんでしょう これ?

司会者:さあ それでは皆さん 準備はよろしいでしょうか?

家森 諭高:何か怪しい(あやしい)スパム系じゃないの?

別府 司:ヤバイ ヤバイ ヤバイ。

巻 真紀:もう見ちゃったから 請求書来るんじゃないですか? 別府さん 払えなかったら 東京湾に…

別府 司:大丈夫ですか?

世吹 すずめ:やっちゃった。

家森 諭高:6800円。


別府 司:どうしました?

別府 司:Wi-Fiつながらないんですか? 

別府 司:部屋に虫(むし)的なもの出ました?

別府 司:お腹すいたんですね? ちょっと待っててください ウチのドーナツは…

別府 司:すずめちゃん?

世吹 すずめ:すいません。

世吹 すずめ:Wi-Fiつながらなくて。

別府 司:Wi-Fi…

世吹 すずめ:ごめんなさい 急に ビックリしましたよね?そういうことするつもり なかったんですけど。

別府 司:いえ こちらこそ 避けきれ(さけきれ)なくて。

世吹 すずめ:いや 避けきれない速度 あったと思うんで。

別府 司:Wi-Fi…

別府 司:おなかすいてから… 食べます?

世吹 すずめ:いただきます。

世吹 すずめ:別府さん。

別府 司:はい。

世吹 すずめ:いただきます。

別府 司:どうぞ。


別府 司:やっぱりいません。

巻 真紀:私今日一日いるので 戻ってきたら連絡します。

別府 司:大丈夫かな?

家森 諭高:何か気になることでもあるの?

別府 司:Wi-Fiが’…


バス:青葉病院前です お降りの方 いらっしゃいませんか?


警察:ごめんね おねえさん ここ許可もらってます?


巻 真紀:はい もしもし,そうです,カルテットドーナツホールです。

巻 真紀:ワタライスズメ… ああ,はい。

巻 真紀:お父様が…


世吹 すずめ:すみません。

花屋の店員:はい。

世吹 すずめ:500円です お花ってできますか?

花屋の店員:う~ん


岩瀬 寛子:どうぞ。

岩瀬 寛子:どうぞ。

岩瀬 寛子:ついさっき 一度呼吸が止まりました,戻ってきたのは 娘に会いたいからじゃないかな。

岩瀬 寛子:息子呼んできますね。

看護師:止まっちゃったかも,先生 呼んできますね。


医師:ご愁傷様でした。

看護師:ナースステーションのほうでお手続き(てつづき)えを。

岩瀬 純:あの人は?

岩瀬 純:これ。

司会者:さあ それでは皆さん 準備はよろしいでしょうか? 

巻 真紀:これって?

岩瀬 純:検索してたら見つかって。たぶん すずめさんのこと。

世吹 すずめの元同僚:4年ほど前 まだ日本で 会社勤めしてた頃のことだ。同僚に つばめちゃん(仮名)という同年代の子がいた,つばめちゃんは よく笑う子だった,いつも みんなの話を 楽しそうに聞いている。だけど つばめちゃんは自分の話をすることはなかったし,つばめちゃんが 自分の話をしていないことにも,誰一人 気づいていなかった。ランチにはつきあわないし 飲み会に来ない。きっと一人が好きな 変わった子なんだろう,みんな それ以上に 関心を払わなかったし。今 思えば それはそれで つばめちゃんには 居心地が よかったのかもしれない。そんな居場所が失わ(うしなわ)れたのは 誰かが何気に つばめちゃんの名前を検索したのがきっかけだった。昔 超能力詐欺事件 というのがあった,子供たちに大人気の 魔法少女の正代がバレて 彼女は噓つきの魔女になった,それが つばめちゃんだった。正代が発覚したあとも つばめちゃんは 相変わらず よく笑うつばめちゃんだった。こういうこと 前にもあったんだなと思った,行く先々であるから 慣れ(なれ)てるんだ。いつも過去の自分に 追わ(おわ)れてきたんだ。それ以来 つばめちゃんのテスクに 「出ていけ」とひと言葉かれたメモ用紙が毎日置かれるようになった,彼女は それを 引き出しにしまい続けて,100枚ばかりたまった頃 一身上の都合(つごう)でと言って 退職願を出した。みんなが最後に見たのは やっぱり笑ってる つばめちゃんだった。私もみんなにつられて 出ていけメモを置いた一人だ。謝りたいけど もうどこにいるのかわからないし。どこにいるのか探されることが 何より つばめちゃんの 望んでいないことなんだと思う。


巻 真紀:すずめちゃん。

巻 真紀:すずめちゃん。

巻 真紀:すずめちゃん。

巻 真紀:すずめちゃん!


店員:いらっしゃいませ。

世吹 すずめ:チェロ置かせていただきます。

店員:いらっしゃいませ。

世吹 すずめ:カツ丼ください。

店員:カツ丼。

世吹 すずめ:はい。

巻 真紀:私もカツ丼で。

店員:カツ丼二つ。

世吹 すずめ:こっちでこれは大げさですよね。

巻 真紀:ねッ。

世吹 すずめ:これって いぬかわ稲川淳二さんですよね?

巻 真紀:えッ?

巻 真紀:うん。

世吹 すずめ:冬でもやってるんですね。

巻 真紀:そうだね。

巻 真紀:食べたら戻ります?

世吹 すずめ:はい?

巻 真紀:病院。

世吹 すずめ:お昼(ひる)前にも一回 さっきんとこ通ったんですけど。

巻 真紀:そう?

世吹 すずめ:巻さんいると思わなかったな。誰かから電話とか来たんですか?

巻 真紀:留守電(るすでん)聞いてない?

世吹 すずめ:すいません,はい。

巻 真紀:何も聞いてない?

世吹 すずめ:ちょっと買い物とかしてたんで。

世吹 すずめ:さっきバス降りる時 間違えて ごちそうさまって行っちゃった。

巻 真紀:病院戻ろうか。

世吹 すずめ:注文しちゃったし。

世吹 すずめ:かのおじさん 絶対 怖いですよ,おそば打つ(うつ)棒で殴ら(なぐら)ねますよ 食べましょうよ。

巻 真紀:すずめちゃん あのね…

世吹 すずめ:あッ 怖そう。

巻 真紀:あのね。

世吹 すずめ:怖い。

巻 真紀:ちょっと止めてもらおうか。

世吹 すずめ:面白いじゃないですか?

巻 真紀:すいません これ ちょっと止めてもらえますか。 

巻 真紀:切れた。

世吹 すずめ:巻さん 怖いの苦手なんですか? お化け屋敷(ばけやしき) 入れない系ですか?

巻 真紀:すずめちゃん。

世吹 すずめ:私もあんまりな感じなんですけど…

巻 真紀:すずめちゃんのお父さん…

世吹 すずめ:今度 お化け屋敷行きましょうよ。

巻 真紀:お父さん さっき亡くなられました。

世吹 すずめ:軽井沢って お化け屋敷なさそうですよね あったかな?

巻 真紀:すずめちゃん やっぱり すぐ病院へ…

世吹 すずめ:食べてからでッ。

世吹 すずめ:ごめんなさい。

世吹 すずめ:ボーダーですよ ボーダーです。

巻 真紀:ホントだ。

世吹 すずめ:なんか聞きましたか? 昔のこととか。

世吹 すずめ:へえ…

巻 真紀:はい。

世吹 すずめ:昔 父が すごいお世話になってた人がいたんですけど。

巻 真紀:はい。

世吹 すずめ:お金貸してもらったり たっくさん,ご飯もしょっちゅう ごちそうになってた人で。その人が ある時 大ケガで入院したんです,なのに 父は お見舞い行かないで うちでテレビ見てたんです。「何で行かないの?」って聞いたら,「病院で風邪とか うつされたくないから」って,ひどくないですか?

世吹 すずめ:あと 建築の仕事してたんですけど 30階建てのビル造って 25階までできたところで 父が何か 基礎? の大事なところを 手抜き(てぬき)してたの分かっちゃって,初めから やり直しになったんです,それで 潰れた会社とかあったのに 父は その日 ラーメン屋さんで スープがぬるいって言って 作り直させたんです。ひどくないですか?あと,母が…

世吹 すずめ:稲川淳二さんの話より,父のほうがずっと怖いですね。

店員:はい,カツ丼二つです。

店員:すいません。

世吹 すずめ:ありがとうございます。

世吹 すずめ:おいしそう。

巻 真紀:ねえ。

世吹 すずめ:食べ終わったら 病院行きますね。病院…

世吹 すずめ:怒られるかな?

世吹 すずめ:ダメかな。

世吹 すずめ:家族だから 行かなきゃダメかな?

世吹 すずめ:行かなきゃ…

巻 真紀:すずめちゃん 軽井沢帰ろう,病院行かなくていいよ,カツ丼食べたら 軽井沢帰ろう。

巻 真紀:いいよ,いいよ,みんなんとこに帰ろう。

世吹 すずめ:父親が死んだのにいかないって…

巻 真紀:いいの。

世吹 すずめ:知られたら… カルテット辞めなきゃいけないのかなと思って。

世吹 すずめ:こういう人だってバレたら,嫌われちゃうかなって思って。

世吹 すずめ:怖くて… 怖かった。

世吹 すずめ:みんなと離れた(はなれた)くなかったから。

巻 真紀:私達 同じシャンプー使ってるじゃないですか?家族じゃないけど,あそこは すずめちゃんの居場所だと思うんです。髪の毛から同じにおいして,同じお皿使って,同じコップ使って,パンツだって 何だって,シャツだって まとめて一緒に洗濯機に放り込んでるじゃない。そういうのでも いいじゃないですか?

巻 真紀:泣きながら ご飯食べたことある人は生きていけます。


世吹 すずめ:私にチェロえを教えてくれたおじいさんがいたんです,白い髭が生えた おじいさん。物置で初めてチェロを見つけて,触ってたら おじいさんが来て。教えてくれました,この楽器はね 1700年代に ヴェネツィアという所で 生まれたんだよ,楽器はね 人の命(いのち)よりも長いんだ,君よりも年上,私よりも 年上なんだって。私 ビックリしました,こんなおじいさんより年上で 遠い知らない国から来て,今私のところにいるんだ。おじいさんは 私の手に 手を添えて(そえて) チェロの持ち方を 教えてくれました。チェロは私のてには大きくて 何でか懐かしいくて,守られてる気がしました。そっか,「あなたは 私より長く生きるんだ,じゃあ,そうだね,ずっと一生 一緒にいてねって」約束しました。


世吹 すずめ:巻さん。

巻 真紀:うん?

世吹 すずめ:私もだ他にも巻さんに隠し(かくし)てることが…

世吹 すずめ:はい?

別府 司:これで完成ですね,つけますよ。

別府 司:どうですか これ?

家森 諭高:もう一回考える? 遠くから…

家森 諭高:帰ってきた!

別府 司:家森さん。

家森 諭高:お帰りなさい。

巻 真紀と世吹 すずめ:ただいま。

別府 司:マジが。

別府 司:すずめちゃん,お帰りなさい。

巻 真紀:頑張りましたね。

家森 諭高:はい。

世吹 すずめ:Wi-Fiつながりました。


世吹 すずめ:ごめんなさい,もう一回やり直します。


別府 司:なんですがそれ?

世吹 すずめ:何でもあ~りませ~ん。

別府 司:すずめちゃん,もしかして金庫持ってます?

世吹 すずめ:トギ,はい。でも金庫の中は きびだんごです。

別府 司:きびだんご。

家森 諭高:先帰っててもらえます?

巻 真紀:どうしたんですか?

家森 諭高:ウルトラソウルです。


家森 諭高:もう~

半田 温志:しゃべる気になった?

家森 諭高:ホントに,ホントに知らないんですって。

半田 温志:もう これ以上困らせないでって 言ってるよね。

半田 温志:この姉さん どこにいんの?

家森 諭高:もう僕 この人に愛情ないし,知ったことじゃないから。

家森 諭高:やめて,やめて,やめやめてやめてやめてッ。